皆様、ごきげんよう。最近ちょいちょい更新を頑張っている(つもりの)じょじろ~です。 こんなことしてて新刊の「青と茜のフォトグラフ」は間に合うのかよ!ってツッコミたくなる方もいるかもしれませんが、大丈夫です。今のところまだ締め切りまでには間に合う予定です。 それでは何故このタイミングに16年も前に描いた作品のことを語るのかというと、夏のイベント参加は久しぶりなので今回のイベント(コミティア121・8月20日開催)では、夏が舞台の作品を中心に出展しようと思い、この作品にもスポットライトがあたることになりました。 そして今まで一部の人にしか言ってなかったことや、作品当時から誰にも言ってなかったことをここで語ってしまおうと思い立ったわけであります。というか、読んでもらう以上、ちゃんと言っておかなきゃならないことだと思ったので。 肝心の新作漫画の方は何とか完成させますので、 少々お付き合いくださいませ(´∀`)∩ |
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一応ネタバレも含まれますが、読んだことのない人も、ご安心ください。 …すみません、いろいろ考えた結果、無料配布はしませんでした。。 |
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【真実① 実はこの作品はパクリです。】 なかなか衝撃的な滑り出しですが(笑)、まあ正確に言うと元ネタがあります。中学2年の時に国語の教科書に載っていた、「夏の葬列」(山川方夫著)という短編小説です。この事は一部の知り合いには言った記憶があります(誰に言ったのかは正直覚えてないんですが…)。ググってみると教科書に載ってる作品としても結構有名な話らしいので知っている方も多いのではないでしょうか。ネット上で割としっかりあらすじが紹介されているので、この元ネタとなった小説「夏の葬列」の詳細を知りたい方は、お手数ではありますが、ググってみてください。ぶっちゃけ、じょじろ~が描いた「花の咲いた場所」よりも相当衝撃的な内容です。 初めて「夏の葬列」を読んだ時、内容に衝撃を受けると共に「この作品を漫画にしてみたい」という強い想いが生まれました。 そしていつか描こうと胸に秘めているうちに、このまま描いたらただのパクリだし、漫画としてのテイストも組み込まなきゃ読んでもらえないと思い、設定の変更をしました。しかも、あろうことかこれだけ強い思いを抱いた小説にも関わらず、うっかり教科書を捨ててしまい、自分の記憶を頼りに物語を再構築していく事になりました。当時はネットでググるなんて行為は不可能でしたので。 そして、高校卒業後、完全に私生活がフリーダムになったため、ついに「花の咲いた場所」に取り掛かりました。 ちなみに「夏の葬列」から引き継いだ設定は「戦争」、「白い服」、「主人公が当時を振り返る」、それと物語の大まかな流れくらいです。 …あれ?こうして書き出してみると結構削りまくってる(笑) まあ、教科書を残しておけばもっと設定が残った話になっていたのでしょうが、手元になかったので知らず知らずのうちに大分作り変えていたようです。 そして、偶然にもこの作品を描いた年は弟が中学2年だったので、もしやと思い弟の国語の教科書を見せてもらったところ、「夏の葬列」と久々に再会することが出来ました(笑) そしてオリジナルの作品の素晴らしい内容を改めて目の当たりにし、自分の記憶の曖昧さと、だいぶ甘い内容に作り変えてしまった自分の稚拙さに、ショックを受けたのを覚えています_| ̄|○lll ちなみに「夏の葬列」に再会したのは、「花の咲いた場所」を投稿したあとでした。 ただ、意識して変えた点はちゃんと覚えてました。 ・主人公が男ではなく女。 ・亡くなったのは女の子ではなく男の子。 ・男の子と女の子の関係は、親戚ではない男の子と2、3歳年上のお姉さんではなく、同い年の親戚同士。 ・男の子が取った行動は恐怖からではなく、女の子を守ろうとした。 大きな変更といえば、このくらいです。 この変更にあわせて細かな調整をしました。 特にこの変更点の中の一番最後、「女の子を守ろうとした」という変更は少年漫画ということを意識して変えたのを覚えています。 というか、こんなに変えたら所々の設定だけをパクった別作品じゃないかと、「夏の葬列」を好きな方にお叱りを受けそうですが、じょじろ~がこの作品「夏の葬列」を読み、描きたいと感じたものは削ったつもりはありません。それは最後に述べますが、もし描きたかったものが読んだ方に伝わっていなかったとしたら、それは単なるじょじろ~の実力不足です。その点はお詫び申し上げます。 ただひとつ、これはどんな理由があろうといかんだろ、と思うのはこの元ネタがある話を投稿用作品として描いたことです。 自分が感銘を受けた物語がベースにある、少なくとも描いた本人がそれを自覚した上で投稿したとなると、完全なオリジナル作品とは言えません。当時は描きたいという衝動が強く勢いで描き、投稿してしまいましたが、この「花の咲いた場所」で賞を取れなかったことは、今ではむしろ救いだと思っています。 そして、この後、今度はちゃんとしたオリジナル作品を描いていく事になるんですが、しばらくは何を描いても、「花の咲いた場所」が一番面白いよと、言われ続け、大きな「壁」となっていました。 |
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ちなみに「夏の葬列」の内容で完全に忘れていたのは、主人公の罪悪感が拭えたと見せかけて、実はもっと辛い真実に直面するという衝撃のラストです。…衝撃のラストなのに何で忘れていたのか自分でも少し不思議なんですが、恐らくこの作品の中の“自分が描きたかった部分”ではなかったからだと思います。 | |
【真実② 彰くんがつぶやいた『嘘つき』という言葉の真意】 |
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まずこのシーンはじょじろ~の完全なオリジナル要素になります。そして彼の名前の読みは、彰(しょう)くんです。登場人物の名前は全員オリジナルです。 彰くんはお父さんが死んだ時に、「嘘つき」と言っていた、というシーンがありますが、作中ではその「嘘つき」にどういう意味が込められているか語られていません。 一応、そのシーンの手前で『強いと信じていたお父さんが戦死した』という語りがあるので、「お父さんは強いから死なないぞ」というような言葉をお父さん本人から聞かされていたのかなと、想像できなくもないので読んだ方々もあまり違和感は感じなかったと思いますが、真実はちょっと違います。 物語の中盤くらいで、彰くんが自身の夢を猛々しく叫ぶシーンがあります。 『出世に出世を重ねて後に最高司令官!日本国軍は圧倒的な軍事力を身につけ、ゆくゆくは世界を統一し、この「木刀の彰」は全世界に平和をもたらすのだー!!!!』 このシーンはその後、暴走した彰くんをはるかが鎮めるという展開になり、ちょっとしたコメディパートになっていますが、ここで語った夢はかつてお父さんが語っていた夢だったのです。その高い理想を掲げる父の背中を見て育った彰くんは、父を「強い」存在だと信じ、尊敬していました。しかし、父は志半ばに戦死してしまいました。彰くんは裏切られたという気持ちを抱き、父に対して「嘘つき」と言ったのです。 しかしそんな彰くんは、尊敬していた父の理想を引き継ぐことを決意します。父に代わって自分が成し遂げてみせると。しかしその父から子へ受け継がれた遺志も、戦争という無作為な殺人行為の前にあっけなく摘み取られてしまいました…。 |
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【最後に、この作品で描きたかったこと】 戦争は、戦争をする意思のない人間の命も関係なく奪っていきます。ある日突然です。死亡フラグなんてものもありません。数秒前まで普通に続くと思っていた日常が突然なくなります。どんなに輝かしい未来が待っていても、どんなに素晴らしい意志を持っていたとしても、その人の人生をあっさり摘み取ります。それを表現できればと思い、彰くんが亡くなるシーンは突然来るように描きました。 作者自身は戦争は未経験ですが、この作品を見て戦争の怖さが、突然命を奪われる衝撃が、少しでも伝われば描いた意味があるのかなと思います。 |
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まあ、とはいえ一応一般大衆向けに描いた漫画なので「面白かった」と言っていただければ、作者冥利に尽きますです(笑) 以上が、「花の咲いた場所」という作品について伝えたかったことです。 中学2年だった当時、それまでの自分にとって漫画は描いて楽しむものでした。ところが「夏の葬列」という作品との出会いが、漫画を読んでくれる人に何かを伝えたいと思うようになり、今の自分がいます。 繰り返しになりますが、少しでも興味を持っていただけたのなら、イベント当日、この作品も手にとってもらえたら、嬉しいです。 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました(*´∀`*) |