裏話その4 カンナとくまさんの関係性

イマジナリーフレンドである白いクマ。特にニックネームはなく、カンナは「くま」と呼んでいます(本編でその描写はないけど)。そしてこのくまさんはこの物語において解説者でありカンナの代弁者という重要な役どころ。実は最初にこの物語を思いついた時はイマジナリーフレンドの存在はなく、主人公のカンナ一人で店内を巡る話でした。ただカンナは無口という設定があったため状況を説明する役としてイマジナリーフレンドを付けることを思いつきました。主人公が頭の中であれこれ考えながら一人で行動するより、こちらの方が見た目にも面白くなると思ったからです。じょじろ~が描く漫画の主人公(主に子供たち)は普通に喋るキャラが多いので先に無口という設定があったおかげでいつもと違うノリで話が作れたのは楽しかったです。
そしてこのくまさん、イマジナリーフレンドなのでもちろん実際に喋ったり動いたりするわけではありませんが、カンナにとってもただのぬいぐるみなので、漫画内でもカンナからくまさんに語り掛けるシーンは一切ありません。脳内ではくまさんが意気揚々と動いているんだろうけど、カンナは現実との分別が付いているのだろうと思います。そのため一見会話したり意思の疎通をしているように見えますが、それぞれのシーンはくまさんがいなくても成り立つように描きました。

↑このコマではくまさんの声に反応しているのではなく、波の音に反応している。
→こちらのシーンでは「無料」という言葉が聞こえて来た方を見たら、目印のインフォメーションマークを発見した。

現実世界ではカンナにとってただのぬいぐるみでも、脳内のイメージが広がる世界ではくまさんも他のキャラクターと同様にいちキャラクターとして存在しているので、くまさんの行動や声に反応しています。
イマジナリーフレンドとそれを生み出した本人との関係って人それぞれだとは思いますが、カンナは歳の割には現実的な視点でイマジナリーフレンドを捉えているのかなあと、この項を書いてて思いました。

裏話その5 なぜドレスに衣装チェンジ?
地球の落ちるシーンからピアノの階段を駆け降りるシーンに移る際、この楽器のシーンでは何故ドレスなのか?という質問を以前漫画描き仲間のやまはさんから受けました。その質問を受けた時はお酒も入っていた席でのことなので自分が何て回答したか覚えていないんですが、回答を覚えていないというのはつまり自分でもあまり意味を意識して描いてなかったためです。「設定を練らずに適当に描いてたのか?」と自分自身その時は思い、詰めの甘さを感じたんですが、後々思い出したのは、子供の脳内イメージの世界なのでなるべくフィーリングで描こうと思った結果だった気がします。さらに考えていくうちにそもそも子供の想像世界に大人が納得するような理由付けっているのか、それをしてしまったらそこは純粋な子供の想像世界ではなくなってしまうのでは?とも思ったのですが、よくよく考えてみればその子供の想像世界を考えたのはおっさんの俺なんだから、そのシーンに理由付けがいるかどうかという作品上の建前は置いておいて、自分がこの衣装にした理由は例えフィーリングであっても存在するか…と思いちょい考えてみました。
で、このシーンは楽器店のイメージでピアノを描くにあたり、たぶんピアノコンクールとかの衣装からのイメージだったのかもしれません。ただまあコンクールでティアラはつけないと思うので、これはドレスに憧れを抱くカンナの願望がプラスされたのかなあとか思ってます(何度も言いますが、それを考えたのは俺なんですが)。きっとカンナもテレビとかでコンクールの映像とか観たのだと、そういうことにしておいてください(適当)
ちなみに時計の文字盤の上にシーンが移る際に服装が元に戻っていますが、これはカンナ自身が時計店での服装のイメージがなかったためというのと、イメージの世界に入った直後の服装に戻すことで、もうすぐ現実世界に戻るよ~という漫画上の演出でもあります。単にドレスを描き続けるのが面倒だった、というのもある…かな。
粗が目立つ項になってしまったと思いつつ、
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